ネオリです。
そろそろ仮想通貨の税金に関してマジで考えなくちゃ・・・と思っていたので、知り合いの行政書士さんに問い合わせました。
その結果、かな~り詳しい情報をいただきました。
シェアしてもよいという許可をいただいているので、以下、掲載します。
行政書士によるビットコイン投資の税金情報
2017年4月より、仮想通貨に関する規制を盛り込んだ法律、「改正資金決済法」(「仮想通貨法」)が施行され、仮想通貨が支払手段の一つとして認定されました。
また、国税庁が「ビットコインの使用」により生じた利益の課税についての取り扱いを明らかにしました。
1.ビットコイン投資による利益は「雑所得」に
2017年9月に国税庁はホームページ上の「タックスアンサー」でビットコインについて次のように書いています。
ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
「ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。」
参照:国税庁ホームページ
「雑所得」とは、課税対象の額が増えるほどより高い税率が課される累進課税の対象となるもので、雑所得は給与所得などと合わせて税額が計算され、最大で45%の課税の対象となります。
控除額などはなく、基本的には全額課税です。
また他の所得と損益計算をすることはできず、損失が出た場合に年を跨いで繰り越すといった扱いもありません。
これに対して株やFXから生じる利益の場合は申告分離課税といって他の所得とは分離して計算され、税率は一律20%となっています。
上場株式の場合、損失は3年繰り越すことが可能で利益が出た時に相殺することができます。
FXについても当初15年は現状のビットコインと同様の課税がなされており、申告分離課税となったのは2012年からのことです。
ビットコインも将来的にはFXのように、一律20%の税率となるのかどうかが注目されます。
2、税金の計算方法
ビットコイン・仮想通貨投資から得た利益に対する税金の計算方法
具体的にいくら税金を払うことになるのでしょうか?
収入から必要経費を引いた金額が利益となる
まず雑所得の利益は「収入-必要経費」で計算されます。
収入とは、1月1日から12月31日までの1年間に ビットコイン投資で得た利益です。
必要経費としては、以下のようなものが考えられるでしょう。
- パソコン購入代金
- スマホ購入代金
- 電話代やプロバイダー費用
- セミナー受講費
- セミナー参加のための交通費
- 書籍や新聞料金
- 筆記用具
- 取引手数料
要は「ビットコイン投資で利益を出すために必要なもの」はすべて必要経費と考えられます。
税務署から指摘されたときに合理的な説明ができるのなら、経費として計上して良いです。
また仮想通貨は「総合課税」となります!!
総合課税とは他の所得と合算して税金を計算する制度です。
総合課税として合算される所得は以下の8つ。
【利子所得】
源泉分離課税に当てはまるもの及び平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等を除く
【配当所得】
源泉分離課税とされるもの、確定申告をしないことを選択したもの及び、平成21年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当について、申告分離課税を選択したものを除く
【事業所得】
株式等の譲渡による事業所得を除く
【不動産所得】
【給与所得】
【譲渡所得】
土地・建物等と株式等の譲渡による譲渡所得を除く
【一時所得】
源泉分離課税に当てはまるものを除く
【雑所得】
株式等の譲渡による雑所得、源泉分離課税とされるものを除く
つまりビットコイン・仮想コインからの収入は雑所得であるため、自分の給料などとまとめて、一緒に計算されます。
その税率は以下の通りです。
ビットコイン投資による利益 | 195万円以下 | 195万円超え330万円以下 | 330万円超え695万円以下 | 695万円超え900万円以下 | 900万円超え1,800万円以下 | 1,800万円超え4,000万円以下 |
所得税率 | 5% | 10% | 20% | 23% | 33% | 40% |
控除額 | 0円 | 97,500円 | 427,500円 | 636,000円 | 1,536,000円 | 2,796,000円 |
住民税 | 10% | 10% | 10% | 10% | 10% | 10% |
【100万稼いだ場合】
所得税:100万×5%=5万円
住民税:100万×10%=10万円
合計:15万円(稼いだ額の15%)
【500万円稼いだ場合】
所得税:500万×20%-42.75万=57.25万円
住民税:500万×10%=50万円
合計:107.25万円(稼いだ額の21%)
【1000万円稼いだ場合】
所得税:1000万×33%-153.6万=176.4万円
住民税:1000万×10%=100万円
合計:276.4万円(稼いだ額の28%)
【5000万円稼いだ場合】
所得税:5000万×45%-479.6万=1770.4万円
住民税:5000万×10%=500万円
合計:2270.4万円(稼いだ額の45%)
【1億円稼いだ場合】
所得税:1億×45%-479.6万=4020.4万円
住民税:1億×10%=1000万円
合計:5020.4万円(稼いだ額の50%)
所得税と住民税を合わせると、最高で50%もの税金が取られます。
FXも始まった当初は雑所得・総合課税であり、最高税率は50%ほどでした。
ちなみに現在は雑所得・申告分離課税で、税率は一律20.315%です。
暗号通貨税制の話が目立ちますが、参考にFX税制の流れをまとめておきます。
日本でFXが解禁された直後は雑所得扱いで税率は最大50%ほど。一律20%の申告分離課税となったのは解禁から15年後でした。
3.ビットコイン投資と税金対策
ビットコインは損益通算できない可能性がある
譲渡所得は通常、損益通算※することができます。
しかし損益通算することができるのは「通常生活に必要である」と判断される場合のみ。
ビットコインはそれに該当しないため、違う所得区分で損益通算はできない可能性があります。
ビットコインに対する確定申告
原則的にビットコインで得た利益に対しても、確定申告は必要とされています。
税務署によっても見解が異なるようですが、雑所得の利益が20万円以上になる場合は確定申告が必要となります。
しかし先ほども触れましたように、利益確定(日本円に換金)しなければ課税されませんので確定申告も必要なくなります。
現段階でビットコインは「モノ」という認識ですので、「モノからお金」に換えない限りは税金が発生しないのです。
ちなみに「ビットコインにかかる税金を脱税したらバレるの?」という質問を受けたことがありますが、いずれバレます。
というのも、ビットコインの取引記録はブロックチェーンという分散型の取引台帳システムで管理されています。このブロックチェーンはオープンソースとなっているので誰でも閲覧可能となっており、取引履歴が消えることはありません。
金融庁や税務署がその気になればブロックチェーンを一斉調査し、過去の取引履歴を全てチェックすることも可能なわけです。
「いずれ」バレるので、ビットコインで利益が出たなら必ず確定申告をしましょう。
とはいえ、できることならビットコインで得た利益に対する税金額は減らしたいと思います。
そこで、お得になるおすすめの節税方法についていくつかご紹介します。
お得なビットコインや仮想通貨の節税方法
ビットコインに課される税金額を減らすために有効な節税方法として、法人を設立して経費として計上することが有効です。
個人事業主として法人を設立するには「法人設立届出書」を提出するだけですので非常に簡単にできるのです。実際に開業してビジネスをするといった意味ではなく、あくまでビットコインにかかる税金を抑えるための開業です。
法人として設立できればビットコインにかかる費用をすべて経費として計上できるのでかなりの税金対策になります。
例えばビットコインで購入した商品を経費として計上したり、中にはタクシー代として利用したビットコインも経費として計上できた事例もあります。
このように法人を設立し、ビットコイン利用分を経費として計上することによって、ビットコインにかかる税金額を減らすことが出来るのです。
他のビットコイン・仮想通貨の節税対策はある?
ちなみに「Wirex(ワイレックス)カード」や「xapo(ザポ)カード」といった海外のビットコインデビットカードも以前までは有効な税金対策の手段だったのですが、これらのデビットカードが10月から日本での利用できなくなるという発表がありました。
これによって日本人が使えるビットコインデビットカードは「BANDLE(バンドル)カード」のみになるのですが、BANDLEカードはビットコインをチャージすると日本円で表記されます。
つまりチャージした時点で課税対象になるということなのです。こちらは国税庁からも回答をいただいており、間違いないそうです。
そしてもう1つ、所有しているビットコインで他のアルトコインを直接購入するという方法があります。
これは日本円に換金せずにアルトコインを購入するので税金はかからないのでは?とされていましたが、課税対象になってしまうそうです。
ビットコインから他のアルトコインを購入する際も、実質ビットコインを一度売却し、そして他のアルトコインを購入しているわけです。
ですので、そのビットコインを購入した時のレートと売却時のレートの差額が課税対象になってしまいます。
ただ現実的に、どこまで国税庁がブロックチェーンを伝って記録を確認するのかという点に疑問があります。相対で譲渡されたものなどはかなり複雑で把握しきれない部分も出てくると思います。
ただ現状の税制は「原則このように決まっています!」ということと思います。
決まりはあるものの、実際そこまで確認するのは国税庁にとっても難しいと思われます。そうなると一番良い税金対策はビットコインを保有しておくことになります。まだまだ価格が上昇すると言われているビットコインを保有しておけば余計な税金はかかりません。
いずれにせよ、ビットコインの利用にはほとんど税金がかかるという認識でいることが重要です。
2017年7月に消費税が非課税に
2017年7月に仮想通貨の消費税が非課税に
2017年7月から「改正資金決済法」が施行されました。この法律は日本国内においてはじめてビットコインに関する法律として注目されていました。この法律の大きな目玉は、「ビットコインが通貨として認められた」という点です。
この法律は消費税法の中の一部ですが、消費税法の中で
消費税法は、国内における資産の譲渡、貸付、役務の提供について消費税を課すこととし、これらのうち、課税になじまない一定の取引については非課税の規定を設けています。
通貨や小切手、手形等は、外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」)上の支払手段に該当し、消費税法上は非課税とされています。
ビットコインが通貨として認められたことで、今までは売買時に掛かっていた消費税がかからなくなったのです。つまり「モノ」としてとらえられていたビットコインが「通貨」として正式に認められたということになります。
これは、国としてビットコインをバックアップしていこうという姿勢ともとらえることができ、今後のさらなる普及にも期待ができます。
まとめ
・ビットコインの所得区分は「雑所得」で、課税方法は「総合課税」
・ビットコインは日本円に換金(利益確定)した瞬間に課税対象になる
・利益が20万円以上なら確定申告の必要がある
・ビットコインのデビットカードや個人事業主として開業が有効な節税方法
・2017年7月から消費税が非課税へ
ビットコイン投資に関する税法はまだ曖昧なものが多く、今後もどんどん変わってくる可能性もあります。
というのも、ビットコインの急激な普及に税法の整理が追い付いておらず、実物のないビットコインをどこまで把握できるのかが定かではないのです。
しかしビットコインは今後さらに普及してくると言われていますので、ビットコインに関する税法はしっかり把握しておきましょう!